暴虐のからくり人形楽団

谷山浩子×ROLLY( THE 卍 ) 暴虐のからくり人形楽団歌詞
1.ウミガメスープ

作詞:ルイス・キャロル・日本語詩:矢川澄子
作曲:谷山浩子

すてきなス・スープ たっぷりみ・みどり
あついおな・なべで ま・ま・まってるよ
だれがのまずにいられるかい
夕げのス・スープ すてきなスープ
夕げのス・スープ すてきなスープ

す・すてきな ス・スープ
す・すてきな ス・スープ
ゆ・ゆうげの ス・スープ
すてきなすてきなスープだよ

すてきなス・スープ おかずはいらない
肉も魚も・もいるも・ものか
これ一ぱいでことたりる
すてきなスープが二円ぽっち
すてきなスープが一円ぽっち

す・すてきな ス・スープ
す・すてきな ス・スープ
ゆ・ゆうげの ス・スープ
すてきなすてきなスープ!


2.ハサミトギを追いかけて

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

ハサミトギ どこにいる ハサミトギ
追いかけて どこまでも 雲の上・波の下
そこへ出てくるマモノ 邪魔するやつら
どいてよ そこを どいてよ 早く
追いかけて ハアー ハサミとぎましょォ

幻の影を踏み何千里 旅すれば
見えて来る 赤いサビ 黒いサビ
だから からだが重い 力が出ない
心が重い 元気が出ない
闇を裂き ハアー ハサミとぎましょォ

ピカピカの どんなものでも切れる
ああ そんなハサミを夢みて
心はとぶの 遠い銀河の果て

ハサミトギ どこにいる ハサミトギ
追いかけて どこまでも 夜の国・燃える街
そこへ猫なで声の猫があらわれて
モシモシ ぼくといーことしようよ
あとよあと! ハサミとがなきゃ

みつめれば どんな願いもかなう
ああ そんなハサミを夢みて
心ふるえる 青い時間の旅

幻の影を踏み何千里
その姿 見えかくれ パタパタと 風マント
それは あなたの胸の迷路の彼方
いつもあなたを呼んでる声よ
永遠の ハアー ハサミとぎましょォ


3.意味なしアリス

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

キノコの上の芋虫は 淋しさを教える教授だった
それじゃ始めるよと言い残して
芋虫はどこかへ行ってしまった
もう二度と帰らない キノコだけ残った

アリスはそこで待っていた 2時間 2ヶ月 2100万年
それでも芋虫は帰らない
どうしていいのかわからなくなって
アリスは試しに キノコと寝てみた

それは全然意味がないアリス
何をやってるのかわからない
まるで全然意味がないアリス
意味がないアリスがそこにいる

公爵夫人はわからない
何を言われてもわからない
足し算と引き算と割り算と

チェシャ猫とカボチャの見分け方は
なんとかなるけど それだけじゃしょうがない

なにしろなんにも聞いてない
そもそも興味を持っていない
頭にきたよもう アリスは
公爵夫人の頭を持って
鍋にぶちこんで キノコと煮てみた

それは全然意味がないアリス
耳のないウサギが言いました
まるで全然意味がないアリス
意味がないアリスがくしゃみした

キノコの上に陽があたる
2100万年の陽があたる
いつまでもアリスは待っている
いつまでも待ってる 石になって
苔むしたアリスの上にも陽があたる

というのは実は言い過ぎで
そんなにたいした話じゃない
ほんとのアリスはアパートで
伸びすぎた足の爪を切ってる
何もない暮らしに うんざりしてただけ

ダメだ全然意味がないアリス
何をやってるのかわからない
まるで全然意味がないアリス
意味がないアリスがそこにいる

ダメだ全然意味がないアリス
2100万年 すわったきり
まるで全然意味がないアリス
意味がないアリスは動かない


4.人魚は歩けない

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

人魚は歩けない あなたは歩ける
人魚は歩けない あなたは歩ける
人魚は歩けない あなたは歩ける
人魚は歩けない あなたは歩ける

あなたと街を歩いてるけど
歩くフリをしてるだけなの
鱗がざりざり アスファルトにこすれる
鱗がこすれて ぽろぽろ落ちる 黄昏

人魚は歩けない あなたは歩ける
人魚は歩けない あなたは歩ける
人魚は歩けない あなたは歩ける
人魚は歩けない あなたは歩ける

わたしが道でよろけるわけを
あなた知らない 気づくこともない
ここが海なら 困るのはわたしじゃない
ここが海なら あなた溺れて死ぬでしょう

人魚は歩けない あなたは歩ける
人魚は歩けない あなたは歩ける
人魚は歩けない あなたは歩ける
人魚は歩けない あなたは歩ける

帰りたいけど 帰りたくない
ホタテ ナマコ 会いたいハタハタ
だけどここにいる 鱗が全部落ちても
あなたは海では生きていけない
ヒトだから

人魚は歩けない あなたは知らない
人魚は歩けない あなたは知らない
人魚は歩けない あなたは知らない
人魚は歩けない あなたは知らない


5.手品師の心臓

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

さあカードを裏返すよ
よく見てごらん 裏返すよ
手品師はそう言ったきり
カードを持つ手をとめてる

カードの裏に何があるのか
息をつめてみつめる子供
カードの裏の恐るべきからくりが
ゼンマイ仕掛けで地球をこわすのか?
違う! 違う!

さあカードを裏返すよ
今度こそは本当に

手品師は長い指を翻した
目にもとまらない早業

カードの裏に貼り付いている
それは何だ? 息をしている
赤くて黒い ヌメヌメと柔らかい
知らない星の生き物のよう
違う! 違う! それは彼の心臓

手品師は言った これはきみのもの
ぼくの命 きみにあげる
指先でそっと 触れてごらんほら
こわくないよ 抱いてごらん

抱いたら次は 口に入れてみて
きっときみは 夢中になる
からくりはそこだ それが彼の罠
だけど子供は何も気づかない

さあもうきみは逃げられない
このぼくの心臓から
手品師はそうつぶやいて
突然すべての動きを止めた

ゼンマイが切れ 動かない手品師が
転がる床に 矢印がある
お帰りはこちら 指し示す方向に
出口のドアがない 壁だけがある
ここは ここは
逃げていった彼の夢の迷路の中


6.歯ぎしりがとまらない

作詞:ROLLY・谷山浩子
作曲:THE 卍

歯ぎしりがとまらない
不可思議な機械のせい
ギリギリギリギリギリギリギリ〜ン
歯ぎしりがとまらない
知らない内に何かがすり減ってる 歯

歯ぎしりがとまらない
幾何学な図形のせい
ギリギリギリギリギリギリギリ〜ン
歯ぎしりがとまらない
知らない内に何かが始まってる 歯

僕は先生に愛されてる
学校中で僕だけが先生のペット

理科室の奥の暗い場所に隠してある
不可思議な機械につながれるのは
僕だけ

あたしのかわいいあやつり人形ちゃんって
言いながら
先生が機械のスイッチを入れると
手や足がバラバラに動いて
変な角度に曲がって
僕は 世にも珍しいへんてこダンスを踊る

先生が笑うから
僕は幸せ
もうあんまり命も残ってないけど
先生が僕をそんな風にしたんだと思うと
幸せで
幸せで
頭がどうにかなっちゃいそうなんだよ

歯ぎしりがとまらない
歯ぎしりがとまらない
歯ぎしりがとまらない
歯ぎしりがとまらない
歯ぎしりが..........


7.KARA-KURI-BOY

作詞:ROLLY
作曲:ROLLY

からくり人形の彼に彼女ができました
箱はまだあけません
でもいつかはあけるでしょう
私の心の中にずっとしまっておきます
開けちゃうと、死んでしまうから
開けちゃうと、死んでしまうから
開けちゃうと、死んでしまうから


8.楽園のリンゴ売り

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

快楽のトゲがキラキラと 砂漠に星のように
降り注ぐ 血を流しながら 人は夢を貪る

楽園を追われた 僕たちのすみかに
禁断の果実を 売りにくる蛇の群れ

いかがです もしよろしければ 極上の酒もある
言い知れぬ深い酔い心地 誘う リンゴの魔力

わたしどもの店の 直営の工場で
大量に毎日 作られておりますので
いくらでもあります おかわりもご自由に
おや、お客さまどこへ?
そんなにフラフラで

鏡の中に 映る姿は
この世のものとも思えぬ美しさ
くちびるなめて にやりと笑う
ダイヤの肌に プラチナの牙

意味もなく時は過ぎ もう誰もわからない
自分が何のため 何をしているのか
僕の子供たちは 見たこともない顔で
電源を入れれば 会話とダンスをする

ぱりらりらりらり ぱりらりら
踊るリンゴの家族!
ぱりらりらりらり ぱりらりら
回るリンゴの世界!

ぱりらりらりらり ぱりらりら
踊るリンゴの家族!
ぱりらりらりらり ぱりらりら
回るリンゴの世界!


9.しっぽのきもち

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

なりたいものは たくさんあるけど
いちばん なりたいものは きまってる
それは しっぽしっぽ しっぽよ
あなたの しっぽよ
スキというかわりに しっぽがゆれるの

そよかぜふいて わたしをさそうの
「ぼくとあそぼう」 ダメよ 行かないわ
わたし しっぽしっぽ しっぽよ
あなたの しっぽよ
スキというかわりに しっぽがゆれるの

だけどねすこし みじかいきがする
これじゃ あなたのかおが 見えないよ
わたし しっぽしっぽ しっぽよ
あなたの しっぽよ
あなたが にしをむけば しっぽはひがしよ

あなたがわらう しっぽもわらうよ
あなたがふりむく しっぽもふりむく
わたし しっぽしっぽ しっぽよ
あなたの しっぽよ
ガンバル わたしまけない しっぽのきもちよ

しっぽしっぽ しっぽよ
あなたの しっぽよ
スキというかわりに しっぽがゆれるの


10.からくり人形楽団ソレントへ

作詞:ROLLY
作曲:ROLLY

からくり人形 あやつり人形
からくり人形 あやつり人形
欲しがり人形 人形楽団

からくり人形 あやしい人形
からくり人形 あやつり人形

からくり人形 あやつり人形
帰れソレントへ 帰れソレントへ
帰れソレントへ


11.ある楽団員の回想

作詞:谷山浩子
作曲:石井AQ

その日の天候を概略的に述べるならば
曇り ところにより晴れ
青い青い 真っ青な
抜けるように青い空
その空を分厚い雲が全て覆い尽くし
曇り 概略的に
昼だというのにあたりは夕暮れのように暗く
大気は砂漠の砂の色に よどみ 輝いていた
そんなありふれた日常の中を
わたしたちはある朝
ムガール帝国から船で旅立ち
ミシシッピ川をさかのぼり
ソレントに着いたのだという
なぜだろう
何も覚えていない


12.王国

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

歪んだ王国に ぼくたちは住んでる
歪んだ鏡を守っている
歪んだ王国の 歪んだ鏡に
ぼくときみだけが まっすぐにうつる

広間にさしこむ 日射しの角度は
凍りついたように幾千年 動かない
ほかに誰もいない ふたりだけの国で
ヒスイの玉座に きみをそっとすわらせて

やさしく きみの目に 目かくししてあげよう
白い首筋に キスをあげよう

歪んだ王国に ぼくたちは住んでる
ほかに住めるところが ふたりにはない
ここでだけ ガラスの美しい花が咲き
泉は歌い 風はまどろむ

広間の地下には 巨大な迷宮
ひとすじの光も 射さない闇の底
死者のざわめきと 身もだえ泣く声
錆びついた仮面と 砕かれた時計たち

だけど きみは何も 知らないままでいい
ふるえて お休み ぼくの腕の中で

翼ある鳥は 翼をもぎとれ
世界へと続く 通路をとざせ すべて
そして ぼくたちは 王宮の床に
輝く偽りの歌を 刻みつけた

「きみを永遠に ぼくは愛しつづける
きみだけを ぼくは愛しつづける」 …


13.あやつり人形

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

あたし 悲しいあやつり人形
あなたはあたしの 人形使い
いくら逃げても すぐにひきもどされて
泣きながら 泣きながら あなたの腕の中

人形小屋の幕が上がれば
まぶしいライトに 照らされながら

あたしは踊るの あやつり人形
あなたのつくった 舞台の上で
何度も思った あなたを殺せば
あたしはひとりで 歩けるかしら
だけど かぼそい こんな腕では
ナイフひとつも 握れはしない

あたし 悲しいあやつり人形
あなたはあたしの 人形使い
いくら逃げても すぐにひきもどされて
泣きながら 泣きながら あなたの腕の中

あなたはいつも 片手間にしか
あたしの糸を たぐり寄せない
あなたはいつも よそ見している
あたしひとりが 踊りつづける
愛しているわと あたしが言えば
愛しているよと あなたも答える
不思議なものね あたしとあなた
ひとつの言葉が こんなにちがう

あたし 悲しいあやつり人形
あなたは あたしの人形使い
いくら逃げても すぐにひきもどされて
泣きながら 泣きながら あなたの腕の中

ある日気づくと あなたいなくて
あたしひとりが 踊っていたわ
あなたの動かす くせのとおりに
あたし それでも 踊っていたわ

あたし悲しい あやつり人形
人形使いの指をはなれて
ひとりになっても どこへも行けない
いつまでも いつまでも あなたの影の中


14.キャンディーヌ

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

7123年前に
僕はきみと初めて出会ったんだ
通りかかる人もない 高速道路の下で
星を口に詰めこんで 笑っていた
それがキャンディーヌ きみ

きみは誰より巨大な女の子
普通の人のおよそ3倍くらい
時々は25倍 クリスマスには100倍
でも誕生日には小さくなる 7123分の1

めまいがする こんなの初めてさ
夢のような でも夢じゃないような
長い長いキスをした 高速道路の陰で
ぐらりと傾く柱
7つの色 変わるキャンディーヌ きみ

7つの色の 7つの海へと ふたりは行く
7つの草原 ギラギラ光る 油の虹

<モウ目ガ覚メナイヨ>
<モウ僕ハ帰ラナイ>

時が流れた 長い長い時が
7124年の時が
きみは今どこにいるの?
もちろんあなたの前よ。
あれからどこへも行かず
ずっと愛した そして今も

星を口に詰めこんで 笑っている
僕のキャンディーヌ きみ


15.不眠の力

作詞:谷山浩子
作曲:谷山浩子

恋する人は眠れない 恋する人は眠れない

真夜中に 天井をとおして星を見る
星はわたしの瞳の レンズに降りてくる
それは世にも恐ろしい 星座のかたち
それは世にも恐ろしい 殺戮の暗号

恋する人は眠れない 恋する人は眠れない

明け方に彼の家のまわり 5キロ四方
いちめんの砂漠になる 人は死に絶える
鳥も獣も魚も 水も緑も
干涸びて崩れ落ちる 砂はサラサラと

そして砂漠はさらに ひろがりつづける
消える街 渇れる海

やがて彼の美しい 死骸の上に
自由になった わたしの心がかがみこむ
一度だけのくちづけの 夢をかなえるため
すべては死んだ わたしのすべては死に絶えた

誰かわたしに眠りを 安らかな眠りを
眠れぬかぎり砂漠は どこまでもひろがる
誰かわたしに眠りを 安らかな眠りを
眠れぬかぎり世界は やがて廃墟になる

たとえ宇宙を滅ぼす力を手にしても
あなたにとどかない 想いはとどかない
大きく開いたままの目に 星座は焦げつき
瞳の黒いガラスが 静かにひび割れる